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大根の栄養効果は加熱すると台無し!栄養価を無駄なく摂取する食べ方

味が染み込んだおでんや煮物の大根は格別なおいしさですが、実は大根は加熱すると重要な栄養素がほぼゼロ!になってしまうのです。
また、上・中・下の部分で栄養が違うので、栄養効果を存分に発揮するには大根の部位を使い分けるのがポイント。
そして、注目すべき点は、捨ててしまいがちな葉っぱと皮にこそ栄養が豊富に含まれていること!
大根の栄養素を余さず効率よく摂取するなら、皮ごと、生で、おろして、「大根おろし」にして食べるのがおすすめです。

美味しい大根の選び方

大根 選び方 上 下 画像

大根の旬は10~2月。
春から夏にかけてはやや辛みが強く、秋から冬は甘みが増してきます。
根よりも葉の方に栄養成分が豊富に含まれているので、栄養を重視するなら葉つきのものを選ぶとよいでしょう。

それでは、美味しい大根を選ぶポイントをご紹介していきます。

  • 葉や茎がみずみずしくて、黄色く変色していないもの
  • 茎はしっかりしているものが新鮮
  • 葉の緑色が濃い
  • 全体的にハリ・ツヤがある
  • ずっしりと重いもの
  • 色が白い
  • 毛穴が少なくすべすべのもの
  • 首の部分の黒ずみがひどいものは避ける
  • ひげ根が長くないもの、少ないもの
  • つけ根が茶色く変色していないもの
  • 先が丸いもの(先がとがっているものはまだ成長中)

カット大根は、切り口を見て、ス(空洞)が入っていないものを選びましょう。

大根の栄養は加熱でほぼゼロになる!

大根は、葉が緑黄色野菜、根が淡色野菜という2つの要素をもっている野菜です。
大根のおもな栄養素は、カリウムとビタミンC。

ビタミンCは葉と根の外側に送られるため、中心よりも外側の皮付近が豊富です。
特に葉の部分は、根よりもビタミンCが豊富なうえ、根にはないβカロテンには強力な抗酸化作用があります。

捨てることが多い葉と皮にこそ栄養成分がたっぷりあるので、捨てるにはあまりにももったいないです。
皮は太めの千切りにしてきんぴらにすると断然食べやすくなります。

大根 葉 栄養 画像
葉はβカロテン、ビタミンA、ビタミンC、カリウム、カルシウム、食物繊維が豊富な緑黄色野菜です。
食物繊維は、コレステロールの上昇を抑える効果や腸内の老廃物を体外に出す役目もしてくれます。

また、葉には殺菌力があり、食中毒予防にもなります。
葉の栄養素はビタミン、ミネラルともに、根より格段に優れているうえ、ほうれん草と比べてみてもビタミンCは5倍、カルシウムは5.3倍!

こんなにも栄養がある葉なのですが、スーパーでは葉が切り落とされた状態もしくは葉がほとんどない状態で売られていることがほとんどですよね・・・。
おそらく大量の葉っぱが邪魔なのでしょうが・・・。

葉がついている状態で売られていて、なおかつ新鮮なものを見つけたら、迷わず”買い”です!
細かく刻んでじゃこやお揚げさんと炒めたり、野菜が少ないチャーハンに加えれば栄養バランスも満点です。

この時気を付けてほしいのが、大根の葉は根の栄養を吸収してしまうので、買ってきたらすぐに根と葉を切り分けること。
葉は保存しやすい大きさにカットし、熱湯でさっと茹でて冷ましたら、冷凍保存するのがおすすめ。
ちなみに、葉に多く含まれる美肌に効くビタミンAは脂溶性で、そのままでは10%程度しか吸収できないので、茹でるよりも、油で炒める調理をすればお肌も喜んでくれます♪

大根は「自然の消化剤」といわれるほど、胃腸の働きを助ける多種類の酵素が詰まっています。

根の大きな特徴は、根の部分は95%が水分で、消化酵素のジアスターゼ(別名アミラーゼ)が豊富に含まれていること。
でんぷん分解酵素のジアスターゼは、でんぷんを分解して消化を高め、胸やけや胃もたれを予防する効果があります。
近年では発がん性物質を抑える効用でも注目されています。

そして、大根の根の先端のほうがより酵素活性が強まります。
特有のピリピリした辛味成分であるアリルからし油も胃液の分泌を高め、消化を促す作用があります。

大根 栄養 画像

ただ、ジアスターゼには重大な欠点がひとつ。
加熱にとても弱く50~70℃ほどで働きを失ってしまうのです。
大根には脂質を分解する酵素「リパーゼ」も含まれますが、こちらも同様に消滅・・・。

そのうえ、おもな栄養素のビタミンCは水溶性で熱にも弱いので、煮込んでいる間にすべて煮汁に流れ出てしまいます。
さらに、ビタミンCは皮付近に一番含まれているので、皮をむいて煮込むとその時点でビタミンCはほぼゼロ!

おでんや煮物でよく煮込んだ大根は味が染みていてとっても美味しいですが、栄養で考えるとむしろ栄養を摂らなくしよう摂らなくしようとしているような食べ方で、むなしくなるほどです。

ということで、大根の栄養素を余さず効率よく摂取するなら、皮ごと生で食べられる「大根おろし」がベスト!!
ジアスターゼはすりおろすことで増加し、ビタミンCは熱に弱い性質があるので、大根おろしは文句なしの食べ方です。

生大根と切り干し大根の栄養を比べてみると・・・

切り干し大根 栄養 画像
大根を乾燥させた切り干し大根は、水分が少ない分、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど多くの栄養素が濃縮されています。
生のものと切り干し大根の栄養価を比べると、カリウムは14倍、カルシウムは23倍、食物繊維は16倍、鉄分は49倍にもなります。

干し野菜は家庭で作るにはちょっと面倒だな・・・と敬遠されがちですが、実は簡単に作れます。
というのも、カラカラに乾燥させなくてもいいんです!
少し水分をとばすだけでも効果があるので、是非試してみて下さい。

大根おろしはおろした直後に食べるべし!

大根 栄養 画像

さて、大根おろしはいつもどんな風に作りますか?
我が家の定番大根おろしは、部位関係なく冷蔵庫にある大根の皮をむいて、おろし器ですりおろす。てな感じです。
大半の方はこんな感じで作るのでは?と思うのですが、だけど、これはちょっと待った!です(笑)。

ビタミンCは皮の方に、ジアスターゼは根の先端の方に多く含まれているので、大根の先端部分を皮つきのまますりおろすのが大根の栄養を最大限に摂取できる方法になります。

大根を買ってきた直後だったらいいんですけど、冷蔵庫に先端部分が残っていない場合は、そんなことも言ってられないんですけどね・・・。
まぁ、知識として持っているとイザという時に結構役立つもんです。

大根のぴりっとする辛さは、細胞が傷つくことで活性化する「イソチオシアネート」。
殺菌作用があり、根本と皮に特に多く含まれています。
細胞が傷つけられると、この辛味成分であるイソチオシアネートが活性化しますが、おろして15分ほどで半減してしまうので、おろした直後に食べるようにしましょう。

イソチオシアネートは、アンチエイジング効果のほか、血液サラサラ効果や解毒作用があり、発がん抑制効果も期待できます。
食物繊維が腸の老廃物を取り除くため、なかでも大腸がんの予防に有効とされているそうです。
焼き魚には大根おろしがつきものですが、焦げた皮の発がん物質の解毒作用があるとも言われています。

水溶性のカリウムやイソチオシアネートが溶け出ているので、すりおろしたときに出る水分も一緒に食べるようにしましょう。

大根おろしは、食べる直前にすりおろし、すぐ食べる!

を覚えておいて下さい!!

ちょっと話がそれるのですが・・・
大根おろしが究極に辛い!
という場面に出くわしたことはありませんか?

大根 栄養 画像
大根おろしが辛くなる、辛くならないのはどうやら「おろし方」に違いがあるようです。
おそらく、大根のおろし方は十人十色と言えるほど人それぞれ全然違う気がするのですが、

大根は縦に切ってからすりおろせば、無駄な力がいりません。
大根の繊維に対して、おろし器を直角に当てて、直線を往復するようにおろしてみて下さい。
この時、すばやく上下に動かすようにすると辛味が強くなり、ゆっくり「の」の字を書くようにすると和らぎます。

ただ、大根おろしは「の」の字を書くようにおろすと、汁と組織が分離して風味が半減してしまうというデメリットがあるので、辛いことこそが大根おろし!という方は、おすすめできません。

大根おろしと効果倍増の食べ合わせ

さば 画像

大根おろしは、焼き魚などさまざまな食材や料理に活用できるので、食べ合わせるのなら栄養の相乗効果も期待したいですよね。

大根おろし×さば
大根のビタミンCがさばの鉄の吸収を助けます。
さらに、さばのビタミンEの血行促進効果により肌のくすみ解消に効果が期待できます。
抜け毛の予防にも有効です。
大根おろし×なめこ
大根となめこの食物繊維は、血糖値の維持に役立ちます。
また、老廃物を排出して腸内環境を整え、肌をきれいに保ち、美肌効果も期待できます。

"薬"的な役割もしてくれる大根おろし

はちみつ 画像

大根おろしには殺菌・消炎作用があります。
おろし汁にハチミツを加えて飲むと、喉の痛みを抑えてくれます。
ビタミンCは風邪の予防にもGood!

また、大根おろしに小麦粉を加えて練り、ガーゼにのばし肩に貼ると、筋肉の炎症を鎮めて急性の肩こりや筋肉痛に効果があります。

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